恋色カフェ
「誰から……聞いたの?」
恐る恐る尋ねると、秀人は「あー」と気の抜けたような、気だるげな声を上げた。
「彗の家に行った時さ、引出し開けて見ちゃったんだよねー、手帳」
一度も、私の物を勝手に弄ったりするようなことはなかったのに――まさか、秀人がそんなことをしていたなんて。
あまりのことにショックで、言わなければいけない言葉を見失っていると、秀人は大袈裟にため息を吐いた。
「だってさー、好きな女の気持ちがいつまで経っても自分に向いて来なければ、どうしてだろうって、気になるじゃん」
間合いが詰められる。その手の人特有の嫌な脂臭さが鼻を掠めて、私は思わず顔を背けた。
「だから、俺と別れたんだろ。そいつと付き合うことになったから」
「……違う」
「俺は彗のことを、本気で好きだったのに」
「ならどうして……!」
秀人と、瞳を合わせる。顔を背けたい衝動に駆られるが、堪える。今、彼から視線を逸らしては駄目だ。
「借金してることを、私に黙ってたの?」