恋色カフェ


これにはさすがに、秀人は驚いた様子を見せた。大きく見開いた目は、痩せたせいかまるで魚の目玉のようにぎょろりとしていて、思わず悲鳴を上げそうになる。


「彗こそ、何でそれ知ってんの」

「……噂で、聞いた」


秀人は、ふん、と鼻を鳴らし、今度はニヤニヤと薄気味悪く笑っている。


「何で借金したか、知りたい?」

「それは……」

「心底好きになった女に、尽くしても尽くしても愛情を返してもらえなくて、寂しくて。気を紛らす為に、パチンコに行ったら、これがたくさん出てさ。何だか、満たされたんだよな」


うっとりした秀人の顔が、視界の隅に映る。依存症、という言葉は聞いたことがあったけど、実際にそういう人物を目の当たりにしたのは初めてだ。

そんなことを考えながらも、私は胸の奥にナイフを突き立てられたような鋭い痛みを感じていた。



「……私のせい、ってこと?」

「まあ、そういうことになるね」


秀人は、平然とそう言ってのける。



――この人は、一体誰だろう。

私の知っている秀人は、もうここにはいない。真面目で、料理が好きで、愛嬌のある笑顔の。



……そして。

彼をこんな風にしてしまったのは、誰でもない――私、なのだ。

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