恋色カフェ
「怪我は?」
「……大丈夫、です」
良かった、と言いながら、店長は優しく私の髪を撫でる。
「でも何で……」
言いかけた言葉を遮るように私に目配せすると、店長は地面の方へと視線を移した。
「そこの、倒れてる奴」
秀人はゲホゲホと咳込みながら、店長に鋭い視線を向ける。
「彗を道連れになんてされたら困るんだよ、俺が」
秀人は黙って、店長を睨みつけたまま。
「本気で好きだとか言ってたけど、お前が本気で好きなのは自分のことだけだろ」
「……は?」
「本当に好きなら、自分の弱さをその愛しい人のせいになんて、絶対にしない」
「俺らのことわかんねーくせして、適当なこと言ってんじゃねーよ!」
秀人が起き上がりかけたのを見て、身が縮む。店長の胸元辺りのシャツをぎゅ、と掴むと、それに気づいたのか、彼は大丈夫というように私の肩を強く抱いた。
「まあ、そうだな。お前も本当に傷ついたんだろうな。辛かったな」
「馬鹿にしてんのか。てめえになんか、同情されたくねーんだよ!」
「で、借金はいくらあるんだ?」
「……は?」
「高利貸しに手を出したりしてたのか?」
「……」
「お前が彗と関わりある人間じゃなければ、こんなこと訊くつもりもないし、どうでもいいんだけどさ」