恋色カフェ


そう言って、店長はポケットから紙切れのようなものを取り出した。


「これは、お前を助ける救世主」

「……は?」


秀人はあまりの展開に驚きを隠せないでいる。



「真面目に働く気、ある?」

「……さあ」

「じゃ、やらない」


店長は四角い紙を真上に上げた。


「あ……ちょ、っと」

「なんだよ、働く気あるの?」

「…………ある」

「え?」

「あるよ!」

「じゃ、これ」


店長が秀人に差し出した紙を覗き込むと、誰かの名刺だった。


「それは俺の親父が経営している会社の、顧問弁護士の連絡先」


秀人は怪訝そうな顔で、その名刺と店長を交互に見つめている。


「そこに連絡して、どうすればいいか相談してみろ。お前にとって一番いい方法を考えてくれるから。無論、相談料とかはこっち持ちだ。それと、仕事も斡旋出来るように手配しとく」


不思議そうな顔で、秀人は店長を見上げている。店長はその姿を見て、口許に薄く笑みを浮かべた。


「まあ、それを利用するかしないかはお前次第だけど。彗の彼氏に頼りたくない、って言うんなら、仕方ないし。利用するなら……彗の彼氏だった自分を幸せに思え」


店長は最後に秀人の胸ぐらを掴み、だがもう彗の前に現れるなよ、と釘を刺してから、私を連れてその場を後にした。



< 568 / 575 >

この作品をシェア

pagetop