恋色カフェ
そう言って、店長はポケットから紙切れのようなものを取り出した。
「これは、お前を助ける救世主」
「……は?」
秀人はあまりの展開に驚きを隠せないでいる。
「真面目に働く気、ある?」
「……さあ」
「じゃ、やらない」
店長は四角い紙を真上に上げた。
「あ……ちょ、っと」
「なんだよ、働く気あるの?」
「…………ある」
「え?」
「あるよ!」
「じゃ、これ」
店長が秀人に差し出した紙を覗き込むと、誰かの名刺だった。
「それは俺の親父が経営している会社の、顧問弁護士の連絡先」
秀人は怪訝そうな顔で、その名刺と店長を交互に見つめている。
「そこに連絡して、どうすればいいか相談してみろ。お前にとって一番いい方法を考えてくれるから。無論、相談料とかはこっち持ちだ。それと、仕事も斡旋出来るように手配しとく」
不思議そうな顔で、秀人は店長を見上げている。店長はその姿を見て、口許に薄く笑みを浮かべた。
「まあ、それを利用するかしないかはお前次第だけど。彗の彼氏に頼りたくない、って言うんなら、仕方ないし。利用するなら……彗の彼氏だった自分を幸せに思え」
店長は最後に秀人の胸ぐらを掴み、だがもう彗の前に現れるなよ、と釘を刺してから、私を連れてその場を後にした。