恋色カフェ
「本当に大丈夫?」
「……何が、ですか」
「何がって……」
はあ、と隣から呆れたようなため息が吐かれた。
「それより、どうして店長はあの場所に……?」
私から質問し返されるとは思わなかったのか、店長は面食らった顔をしてから、またため息を吐く。
「バックミラーに、昨日のバイク野郎らしき人影が見えたからさ。しばらく様子を窺ってたんだよ」
店長は正面に向き直り、車を走らせた。夜が明けてから然程経っていないというのに、もう太陽は結構な熱を放っている。真夏も、もうすぐそこだ。
「店長に助けてもらえるとは思ってなかったから……」
「最初から家まで送っていけば良かったんだよな、俺も。ちょっと、読みが甘かった」
「でも店長って、見かけによらず結構強いんですね」
笑いながらそう言うと、見かけによらずってなんだよ、とふて腐れたような声で返される。
「俺は、昔から人に絡まれるのが得意でね。洒落にならない時があるから、護身術ぐらいは身に着けておかないと、ってさ。だから強い訳じゃなくて、人の弱いところを知ってただけ」
俺らしく卑怯な手だろ、と言って店長は笑う。