恋色カフェ
「一体、何のことですか?」
「……いや」
「はっきり言って下さいよ。気になるし」
感情がうまくコントロール出来なくて、少し強い口調になってしまった。あ、と思ったけれど、一度口に出してしまったものは取り消せない。
さっきから、何やってるんだろう。自分でもわかっているのに。私は決まりの悪さを感じて、でも取り繕うことも出来ず俯く。
「あいつ……道連れ、ってさ」
躊躇しているのか、店長は幾分歯切れ悪くそう言う。
「言ってましたね。私を一体どこに連れて行こうとしたんだか……」
赤信号で車が止まる。店長は呆れ顔でこちらに視線を向けると、はあ、と息を吐いた。
「あいつ。多分、死のうとしてたんだよ」
「……えっ」
「彗を、道連れにね」
嫌な音を立てて心臓が鳴く。同時に、背中にストンと鋭い刃物を落とされたような衝撃が、体全体を襲った。
死のうとしていた?
秀人が?
私を道連れに……?
「……だから、聞かない方が良かったんだ」
店長は、自分の膝に置いていた私の手をぎゅっと握った。握られて初めて、私は震えていたんだとわかった。