定義はいらない
翌日、松木先生と病棟で目が合った。

相手が会釈したのに対し私は無視した。

無視というのは間違っているかもしれない。

怒りの感情をすべて込めた視線を一瞬の間に注ぎこんだつもりだ。

太朗ちゃんも職場に来ていた。

仕事の内容を引っ提げて何気なく話しかける。

相手の応酬も普段通り。

大人だなと思う。


心の底には私の疑問がただ一つ。

口に出せずに形とならなく残っていた。


「私たちは終わったの?」


と。

終わりならそれでいい。

分かっていたことだから。

でも、せめて終わりを告げて欲しい。

じゃないと、私の中で終われないじゃない。


彼の視線も彼の言葉も全て今まで通りだった。




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