定義はいらない
遥の結婚式への答えは結局保留にしてあった。

答えを言うチャンスがなかったということもある。

結婚準備で忙しいらしく、なかなか彼女と会えなかった。

私も会いたいとは思っていなかった。

だからもし結論を出すにしても

「不参加」だと決めていたが

彼女からの信頼を裏切るようで私にはなかなかそれが言えないでいた。

そして猶予を与えられれば与えられるほど

「参加」と「不参加」の間で揺れ動いた。

会いたいとも思えていない相手の結婚の証人になるなんて

おかしいと思った。

それは正論だと思う。


何もなく4月は過ぎた。

新人教育と連続夜勤の日々に追われたことに少し救われていた。

新しい年度に変わったということは私の気持ちを少し上に向かせた。

耐える冬を越えて咲き誇る桜の花びらが舞い散るのを見ると

「ガンバって生きてきた」

そう思った。



そして5月に突入した。

4月が嵐の前の静けさだったと後で思い知ることになる。
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