シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
“出来れば月祭りの夜がいいわ。その日は月祭りの方に重点が置かれて、塔の警備もきっと薄いはずだわ。大丈夫、あなたは私を塔に入れてくれればそれで良いの”
“お願いよ。このことは誰にも言わないで”
――マリア姫は塔に入って何をする気なのかしら・・・。
あんなこと言われたけれど、内緒で塔に入れることなんて、そんなこと本当に出来るのかしら。
わたしが塔を抜け出して以来、ウォルターさんが警備の体制を見直して、以前よりずっと厳しくなっているし・・・。
だから、こっそりと・・・なんて芸当はもう出来ない。
許可証を貰おうにも、本当に必要でなければアラン様は出してくれないわ。
でも・・・もしかしたら、頼めば出して貰えるのかしら・・・・?
エミリーは隣で貴族の殿方と話してるアランをそっと見上げた。
片手にワイングラスを持ち、もう片方の手は身体を気遣うように柔らかく包んでいた。
――この腕、わたしが少しでも身動ぎをすると、すかさず力が込められてしまって、くいっと引き寄せられてしまう。
だからさっきからずっとここから動いてないわ。
身体は密着していないから、ある程度は自由に動けるけれど・・・。
いくらパーティに参加するのが初めてだっていっても、そんなに心配しなくてもいいのに。
こうしてアラン様のお傍にいるだけで、わたしは安心して居られるのに。
シャンパンのグラスを持ってぼんやりしていると、御令嬢たちのグループがにこやかに微笑みながら近寄ってきた。手には何か料理の盛られたお皿を持っている。
「エミリー様、此方をお召し上がりになられましたか?とても珍しくて美味しいんですのよ」
「あ・・・ありがとうございます」
御令嬢たちが近寄って来たのに気付き、アランは守る様に包んでいた腕をスッと離した。
気遣うように身体をそっと押しながら、御令嬢たちを見た。
「私が独り占めしておってはいかんな。エミリー、皆とゆっくり語ってくるが良い」
エミリーは少し離れたところに御令嬢たちに誘導され、周りをぐるっと囲まれた。
さっきまでにこやかだった御令嬢たちの表情が、つんと澄ましたものに変わっていく。
「エミリー様はアラン様のお傍に居られて、今もそのようにお気遣いを受けられてて、とても羨ましいですわ」
「本当に・・・。ねぇ、教えて下さるかしら。どのようにしたらそのように、アラン様のお心に取り入る事が出来るのかしら?」
“お願いよ。このことは誰にも言わないで”
――マリア姫は塔に入って何をする気なのかしら・・・。
あんなこと言われたけれど、内緒で塔に入れることなんて、そんなこと本当に出来るのかしら。
わたしが塔を抜け出して以来、ウォルターさんが警備の体制を見直して、以前よりずっと厳しくなっているし・・・。
だから、こっそりと・・・なんて芸当はもう出来ない。
許可証を貰おうにも、本当に必要でなければアラン様は出してくれないわ。
でも・・・もしかしたら、頼めば出して貰えるのかしら・・・・?
エミリーは隣で貴族の殿方と話してるアランをそっと見上げた。
片手にワイングラスを持ち、もう片方の手は身体を気遣うように柔らかく包んでいた。
――この腕、わたしが少しでも身動ぎをすると、すかさず力が込められてしまって、くいっと引き寄せられてしまう。
だからさっきからずっとここから動いてないわ。
身体は密着していないから、ある程度は自由に動けるけれど・・・。
いくらパーティに参加するのが初めてだっていっても、そんなに心配しなくてもいいのに。
こうしてアラン様のお傍にいるだけで、わたしは安心して居られるのに。
シャンパンのグラスを持ってぼんやりしていると、御令嬢たちのグループがにこやかに微笑みながら近寄ってきた。手には何か料理の盛られたお皿を持っている。
「エミリー様、此方をお召し上がりになられましたか?とても珍しくて美味しいんですのよ」
「あ・・・ありがとうございます」
御令嬢たちが近寄って来たのに気付き、アランは守る様に包んでいた腕をスッと離した。
気遣うように身体をそっと押しながら、御令嬢たちを見た。
「私が独り占めしておってはいかんな。エミリー、皆とゆっくり語ってくるが良い」
エミリーは少し離れたところに御令嬢たちに誘導され、周りをぐるっと囲まれた。
さっきまでにこやかだった御令嬢たちの表情が、つんと澄ましたものに変わっていく。
「エミリー様はアラン様のお傍に居られて、今もそのようにお気遣いを受けられてて、とても羨ましいですわ」
「本当に・・・。ねぇ、教えて下さるかしら。どのようにしたらそのように、アラン様のお心に取り入る事が出来るのかしら?」