シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「アラン様・・・わたしお願いがあるんです」
アランを見上げたその時、突然、微かな声のようなものが頭の中に、思考の中に割り込むように聞こえてきた。
“・シ・・・・ド・・”
―――え?何?何か聞こえる―――
“い・・・な・・・・ザード”
――何か叫んでるような・・・誰―――?
エミリーは声の方に意識を向けた。
―――誰・・・誰なの?―――
“い・・・な・・くれ・・”
「エミリー、どうした?・・・エミリー?」
――アラン様が・・・呼んでる・・・待って、いま・・。
“シ・・ザー・・・ない・・れ”
アランの顔がぼやけ、黒い渦が目の前に広がっていく。
声はその中から微かに聞こえてきた。
その哀しそうな男の声は、どこかで聞いたことがあった。
現実と闇の世界の狭間で、遠のく意識と闘うエミリー。
黒い渦とアランの顔が交互に現れては消える。
アランの声がどんどん遠退いていき、唇だけが目の前で動くのが見えた。
何かとても強い力が働き、エミリーの意識が黒い渦の中に取り込まれていく。
抗いきれない力に、最後の抵抗するようにアラン方へ手を伸ばした。
「ア・・ラ・・・・」
・・ンさま・・。
エミリーの意識は現実世界から、闇の渦の中へと落ちていった。
ぐるぐると視界がまわり、何処までも落ちていく―――
落下感が納まっても、自分の身体さえも見えない闇がまわりに広がっていた。
“・・・・!”
――例の声が聞こえる・・・あっちから聞こえてくるわ。
エミリーはその声に呼ばれるように、上も下もわからない中を、恐る恐る手探りで進んでいった。
暫く歩いていると向こうの方に仄かな明かりがひとつ見えた。
微かに話し声がそこから聞こえてくる。
近付くにつれて、それははっきりとし出し、若い男性の悲しげな声になった。
“シェラザード”
――シェラザード?今、確かにそう聞こえたわ。これは夢なの?わたし、夢の中にいるの?あそこは何なの・・・?
光の中を除き込むと、急に視界が揺らぎ、いつの間にか目映いほどの光の中に降り立っていた。
眩しい光に堪らずに瞳を瞬かせると、視界がはっきりとしだし、石造りの壁が続く長い廊下にいることが分かった。
何枚かのシンプルな木の扉が続くその少し先に、綺麗な花の絵が描かれた白い扉が見えた。
――あの声はこの中から聞こえてきているみたい。
エミリーは、引き込まれるように、薔薇の模様の扉をそぅっと開けた。
アランを見上げたその時、突然、微かな声のようなものが頭の中に、思考の中に割り込むように聞こえてきた。
“・シ・・・・ド・・”
―――え?何?何か聞こえる―――
“い・・・な・・・・ザード”
――何か叫んでるような・・・誰―――?
エミリーは声の方に意識を向けた。
―――誰・・・誰なの?―――
“い・・・な・・くれ・・”
「エミリー、どうした?・・・エミリー?」
――アラン様が・・・呼んでる・・・待って、いま・・。
“シ・・ザー・・・ない・・れ”
アランの顔がぼやけ、黒い渦が目の前に広がっていく。
声はその中から微かに聞こえてきた。
その哀しそうな男の声は、どこかで聞いたことがあった。
現実と闇の世界の狭間で、遠のく意識と闘うエミリー。
黒い渦とアランの顔が交互に現れては消える。
アランの声がどんどん遠退いていき、唇だけが目の前で動くのが見えた。
何かとても強い力が働き、エミリーの意識が黒い渦の中に取り込まれていく。
抗いきれない力に、最後の抵抗するようにアラン方へ手を伸ばした。
「ア・・ラ・・・・」
・・ンさま・・。
エミリーの意識は現実世界から、闇の渦の中へと落ちていった。
ぐるぐると視界がまわり、何処までも落ちていく―――
落下感が納まっても、自分の身体さえも見えない闇がまわりに広がっていた。
“・・・・!”
――例の声が聞こえる・・・あっちから聞こえてくるわ。
エミリーはその声に呼ばれるように、上も下もわからない中を、恐る恐る手探りで進んでいった。
暫く歩いていると向こうの方に仄かな明かりがひとつ見えた。
微かに話し声がそこから聞こえてくる。
近付くにつれて、それははっきりとし出し、若い男性の悲しげな声になった。
“シェラザード”
――シェラザード?今、確かにそう聞こえたわ。これは夢なの?わたし、夢の中にいるの?あそこは何なの・・・?
光の中を除き込むと、急に視界が揺らぎ、いつの間にか目映いほどの光の中に降り立っていた。
眩しい光に堪らずに瞳を瞬かせると、視界がはっきりとしだし、石造りの壁が続く長い廊下にいることが分かった。
何枚かのシンプルな木の扉が続くその少し先に、綺麗な花の絵が描かれた白い扉が見えた。
――あの声はこの中から聞こえてきているみたい。
エミリーは、引き込まれるように、薔薇の模様の扉をそぅっと開けた。