シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
でも、この国ではそれが当たり前のように日常にあって、神話も人々の心の中でずっと息づいている。
昨日見たリンク王の遠い記憶も、信じて貰えないと思ったのに、アラン様達はあっさりと信じてくれた。
「そうだな・・・。でも、あなたはきっと確かめに来るだろう。いや、今にきっと、確かめざるを得なくなる。今夜ならそれが出来るんだ。あなたは今夜貴賓館に来る」
「そんなこと、どうして分かるのですか?」
「今朝、マリア姫があなたと話したがっていたから、私は食事をすることを提案したんだ。今頃アランに頼んでいるだろう。彼は、彼女の頼みなら聞くからね。きっとそうなる。食事をした後、私のところに来るといい」
「でも、わたし・・・知りたくありません」
「だが、あなたの頭の中はもう、このことで一杯になっただろう?そのうち耐えられなくなる。あっと、このことはくれぐれもアランには内緒にしておくことだ。今夜、貴賓館に来られなくなってしま―――」
レオナルドは急に押し黙った。
そっと横顔を見ると、薄い唇が堅く結ばれている。
しんと静まる夕暮れの庭にレオナルドの鋭い声が響いた。
「ウォルター、まだいいだろう」
「いいえ、よくありません。エミリー様、暗くなって参りました。お部屋にお戻り下さい。レオナルド様、失礼致します」
ウォルターがベンチの傍で丁寧に頭を下げた。レオナルドは重ねていた掌をそっと握り、恭しく持ち上げて手の甲にキスをした。
「あなたの護衛は厳しいな・・・。では、今夜、待っているよ」
耳元で囁き、呆然とするエミリーを残し、レオナルドは貴賓館へと戻っていった。
2台の馬車が政務塔の玄関前にゆるりと停まった。
黒い馬車からサッと降り立った長い脚が、白い馬車の方へスタスタと向かった。
きっちりと馬車の脇に立っている脚。
すると、優雅にゆっくりと綺麗な足が降りてきた。
オレンジ色のドレスのすそが優雅に動く。
降り立った綺麗な足は長い脚に近付き、ぴったりとくっつくようにして歩いていった。
その様子が、庭から塔に戻ろうとしていたアメジストの瞳にはっきりと映った。
二人の様子はとても仲睦まじく見える。
マリア姫の身体はぴったりとアランの体に寄り添い、頬は逞しい二の腕に預けられている。
アランが何かマリア姫に話しかけている。
なんだかとても優しげに見えるのは、さっきのレオナルドの発言のせいだろうか。
それに答えるマリア姫の横顔は、羨ましいほどに、とても美しい。
二人は寄り添い、話しながら政務塔の中に入っていった。
その場から動けず、アメジストの瞳は、ずっと二人の姿が消えた玄関を見ていた。
昨日見たリンク王の遠い記憶も、信じて貰えないと思ったのに、アラン様達はあっさりと信じてくれた。
「そうだな・・・。でも、あなたはきっと確かめに来るだろう。いや、今にきっと、確かめざるを得なくなる。今夜ならそれが出来るんだ。あなたは今夜貴賓館に来る」
「そんなこと、どうして分かるのですか?」
「今朝、マリア姫があなたと話したがっていたから、私は食事をすることを提案したんだ。今頃アランに頼んでいるだろう。彼は、彼女の頼みなら聞くからね。きっとそうなる。食事をした後、私のところに来るといい」
「でも、わたし・・・知りたくありません」
「だが、あなたの頭の中はもう、このことで一杯になっただろう?そのうち耐えられなくなる。あっと、このことはくれぐれもアランには内緒にしておくことだ。今夜、貴賓館に来られなくなってしま―――」
レオナルドは急に押し黙った。
そっと横顔を見ると、薄い唇が堅く結ばれている。
しんと静まる夕暮れの庭にレオナルドの鋭い声が響いた。
「ウォルター、まだいいだろう」
「いいえ、よくありません。エミリー様、暗くなって参りました。お部屋にお戻り下さい。レオナルド様、失礼致します」
ウォルターがベンチの傍で丁寧に頭を下げた。レオナルドは重ねていた掌をそっと握り、恭しく持ち上げて手の甲にキスをした。
「あなたの護衛は厳しいな・・・。では、今夜、待っているよ」
耳元で囁き、呆然とするエミリーを残し、レオナルドは貴賓館へと戻っていった。
2台の馬車が政務塔の玄関前にゆるりと停まった。
黒い馬車からサッと降り立った長い脚が、白い馬車の方へスタスタと向かった。
きっちりと馬車の脇に立っている脚。
すると、優雅にゆっくりと綺麗な足が降りてきた。
オレンジ色のドレスのすそが優雅に動く。
降り立った綺麗な足は長い脚に近付き、ぴったりとくっつくようにして歩いていった。
その様子が、庭から塔に戻ろうとしていたアメジストの瞳にはっきりと映った。
二人の様子はとても仲睦まじく見える。
マリア姫の身体はぴったりとアランの体に寄り添い、頬は逞しい二の腕に預けられている。
アランが何かマリア姫に話しかけている。
なんだかとても優しげに見えるのは、さっきのレオナルドの発言のせいだろうか。
それに答えるマリア姫の横顔は、羨ましいほどに、とても美しい。
二人は寄り添い、話しながら政務塔の中に入っていった。
その場から動けず、アメジストの瞳は、ずっと二人の姿が消えた玄関を見ていた。