シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「エミリー様、今夜の夕食は貴賓館にてマリア姫様とご一緒にとのことです」
慌てた様子で、メイが身支度を整えに来た。
「エミリー様、アラン様が“あまり遅くならないように、早く帰ってきて欲しい”と仰ってました。アラン様は本当にエミリー様のことを気にかけておられて、羨ましいです。ジェフにも見習って欲しいくらいで・・・」
手際よく髪を結い上げながら、メイは不満そうにブツブツ言った。
そんなメイの指には綺麗なリングが嵌められている。
なんでも一般人が愛の告白をするときは、指に嵌められる程度の小さなリングを送りあうのが、最近の流行りらしい。
腕に嵌めるリングは、家事をしない上流階級の方々の風潮だそう。
“あんな大きなリングを嵌めていたら、仕事も何も出来ません”
メイがそう言ってたっけ。
確かに、シルヴァに嵌められたリングは重くて、日常生活を送るのに不便だったわ。
小さなリングで婚約・・・このあたりは、故郷のものと通じるものがある。
メイはずっと指のリングを嵌めたまま。
“結婚してジェフが外してくれるまで、これは外せないんです”
愛する者しかリングは外せないって。
メイが羨ましいわ・・・愛の証を貰えて・・・わたしは・・・・何を信じればいいのか分からない。
シンディさんの言葉も確かめてないし、レオナルドさんの言うことも・・・。
“まだ決心はつかぬか?”
“彼は愛してるふりをしてるだけさ”
“彼は預言を知っている。だから、あなたを傍に置きたい――”
「さ、出来ました。エミリー様、今日も素敵ですよ。国中の、どのご令嬢にも負けません!マリア姫にだって負けません!」
満足げに微笑むメイが手鏡をエミリーに渡した。
相変わらず腕がいい。メイはいつも癖のある巻き毛を綺麗に結い上げてくれる。
「ありがとう・・・さっき、メイがわたしを羨ましいと言ったけれど、反対に、わたしはメイが羨ましいわ」
手鏡をメイに渡しながら、哀しそうに微笑むエミリー。
そんな表情をメイは不思議そうに見つめた。
「エミリー様、何があったのですか?私がこんなことを言うのも変ですけど、アラン様は、エミリー様のことを、とても大切にしてらっしゃいますよ?」
エミリーがアメジストの瞳を悲しげに揺らし、メイを見つめた。
何か言おうと唇が動いた瞬間、ノックの音が大きく響いた。
コンコン!
『エミリー様、貴賓館より御迎えが参りました』
「今、行きます・・・じゃ、メイ、行ってきます」
エミリーは部屋の中を丁寧にぐるっと見廻し、メイの顔をじっと見つめた。
まるで、忘れないように目に焼き付けているかのように。
慌てた様子で、メイが身支度を整えに来た。
「エミリー様、アラン様が“あまり遅くならないように、早く帰ってきて欲しい”と仰ってました。アラン様は本当にエミリー様のことを気にかけておられて、羨ましいです。ジェフにも見習って欲しいくらいで・・・」
手際よく髪を結い上げながら、メイは不満そうにブツブツ言った。
そんなメイの指には綺麗なリングが嵌められている。
なんでも一般人が愛の告白をするときは、指に嵌められる程度の小さなリングを送りあうのが、最近の流行りらしい。
腕に嵌めるリングは、家事をしない上流階級の方々の風潮だそう。
“あんな大きなリングを嵌めていたら、仕事も何も出来ません”
メイがそう言ってたっけ。
確かに、シルヴァに嵌められたリングは重くて、日常生活を送るのに不便だったわ。
小さなリングで婚約・・・このあたりは、故郷のものと通じるものがある。
メイはずっと指のリングを嵌めたまま。
“結婚してジェフが外してくれるまで、これは外せないんです”
愛する者しかリングは外せないって。
メイが羨ましいわ・・・愛の証を貰えて・・・わたしは・・・・何を信じればいいのか分からない。
シンディさんの言葉も確かめてないし、レオナルドさんの言うことも・・・。
“まだ決心はつかぬか?”
“彼は愛してるふりをしてるだけさ”
“彼は預言を知っている。だから、あなたを傍に置きたい――”
「さ、出来ました。エミリー様、今日も素敵ですよ。国中の、どのご令嬢にも負けません!マリア姫にだって負けません!」
満足げに微笑むメイが手鏡をエミリーに渡した。
相変わらず腕がいい。メイはいつも癖のある巻き毛を綺麗に結い上げてくれる。
「ありがとう・・・さっき、メイがわたしを羨ましいと言ったけれど、反対に、わたしはメイが羨ましいわ」
手鏡をメイに渡しながら、哀しそうに微笑むエミリー。
そんな表情をメイは不思議そうに見つめた。
「エミリー様、何があったのですか?私がこんなことを言うのも変ですけど、アラン様は、エミリー様のことを、とても大切にしてらっしゃいますよ?」
エミリーがアメジストの瞳を悲しげに揺らし、メイを見つめた。
何か言おうと唇が動いた瞬間、ノックの音が大きく響いた。
コンコン!
『エミリー様、貴賓館より御迎えが参りました』
「今、行きます・・・じゃ、メイ、行ってきます」
エミリーは部屋の中を丁寧にぐるっと見廻し、メイの顔をじっと見つめた。
まるで、忘れないように目に焼き付けているかのように。