シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
ブルーのミニが園芸店の駐車場に入っていく。
この園芸店は露天の展示にもかかわらず、いつ来てもお客さんで一杯のところ。
エレナはよく利用するが駐車場はいつもいっぱいで、空いたところを探すのによく苦労していた。
「今日もいっぱいだわ・・・停めるところあるかしらねぇ」
「ママ、あっちの隅に一台停められるわよ?今なら空いているわ」
「エミリー?どうして分かるの?あっちって、ここからじゃ見えないじゃない」
「どうしてかは分からないけれど、空いてるのがわかるの。あ・・・今入れられちゃったわ。残念!あ、ママそこ!空いたわ」
エミリーが指さす方を見ると、黒い車が今まさに出ようとエンジンをかけていた。
「待ってればいいわね?」
エミリーはニッコリと微笑みながらエレナを見た。
ハンドルをぎゅっと握り、エレナは曖昧な笑顔を作っていた。
――見えないのに分かるって、やっぱり普通じゃないわ・・・。
昨日も庭にいた野生の小鳥を、いとも簡単に指にとまらせていたし。
その前の日には、家に訪ねてきたしつこいセールスを、追い返していたわ。
確か、たった一言“要りません!”って言っただけ。
あのセールスの人、エミリーの何が怖いと思ったのかしら・・・。
暫く固まったようになって動かなくて、その後広げていたカタログをあたふたと仕舞って逃げるように帰って行ったわ。
「ママ、どうしたの?ほら、空いたわよ?」
「ぇ・・ええ、今、入れるわ」
黒い車の後に愛車を入れおわり、店内に入ると、中にはずらりと何種類もの花の苗や、木の苗がたくさん売られていた。
二人の目当ての色は赤色。
早速、赤い花弁を咲かせる花を探し始めた。
二人で広い店内を歩き回った。
買い物かごを持ったエミリーの姿を、他の客が目で追っている。
すれ違った人もハッとしたように振り返り、エミリーの後ろ姿をぼーっと見ていた。
「あの・・何をお探しですか?お手伝い致しましょう」
「重そうですね、買い物かごをお持ちいたしましょうか?」
何人かの人がにこにこしながらエミリーに話しかけてきた。
「あの、結構です。母もおりますし。それに、もう帰りますから」
かごにはすでに5種類の苗が入っている。
これだけあれば十分ね・・・エレナと目配せをしてレジに向かおうとすると、グイッと腕を掴まれた。
男はニヤニヤと嫌な笑いかたをし、エミリーを見ていた。
薔薇園のことが思い出され、身体に悪寒が走った。
「イヤです!離して下さい!」
店内にエミリーの声が響き渡り、声を聞いたすべての人が固まったように動かなくなった。
「ぁ・・・」
この園芸店は露天の展示にもかかわらず、いつ来てもお客さんで一杯のところ。
エレナはよく利用するが駐車場はいつもいっぱいで、空いたところを探すのによく苦労していた。
「今日もいっぱいだわ・・・停めるところあるかしらねぇ」
「ママ、あっちの隅に一台停められるわよ?今なら空いているわ」
「エミリー?どうして分かるの?あっちって、ここからじゃ見えないじゃない」
「どうしてかは分からないけれど、空いてるのがわかるの。あ・・・今入れられちゃったわ。残念!あ、ママそこ!空いたわ」
エミリーが指さす方を見ると、黒い車が今まさに出ようとエンジンをかけていた。
「待ってればいいわね?」
エミリーはニッコリと微笑みながらエレナを見た。
ハンドルをぎゅっと握り、エレナは曖昧な笑顔を作っていた。
――見えないのに分かるって、やっぱり普通じゃないわ・・・。
昨日も庭にいた野生の小鳥を、いとも簡単に指にとまらせていたし。
その前の日には、家に訪ねてきたしつこいセールスを、追い返していたわ。
確か、たった一言“要りません!”って言っただけ。
あのセールスの人、エミリーの何が怖いと思ったのかしら・・・。
暫く固まったようになって動かなくて、その後広げていたカタログをあたふたと仕舞って逃げるように帰って行ったわ。
「ママ、どうしたの?ほら、空いたわよ?」
「ぇ・・ええ、今、入れるわ」
黒い車の後に愛車を入れおわり、店内に入ると、中にはずらりと何種類もの花の苗や、木の苗がたくさん売られていた。
二人の目当ての色は赤色。
早速、赤い花弁を咲かせる花を探し始めた。
二人で広い店内を歩き回った。
買い物かごを持ったエミリーの姿を、他の客が目で追っている。
すれ違った人もハッとしたように振り返り、エミリーの後ろ姿をぼーっと見ていた。
「あの・・何をお探しですか?お手伝い致しましょう」
「重そうですね、買い物かごをお持ちいたしましょうか?」
何人かの人がにこにこしながらエミリーに話しかけてきた。
「あの、結構です。母もおりますし。それに、もう帰りますから」
かごにはすでに5種類の苗が入っている。
これだけあれば十分ね・・・エレナと目配せをしてレジに向かおうとすると、グイッと腕を掴まれた。
男はニヤニヤと嫌な笑いかたをし、エミリーを見ていた。
薔薇園のことが思い出され、身体に悪寒が走った。
「イヤです!離して下さい!」
店内にエミリーの声が響き渡り、声を聞いたすべての人が固まったように動かなくなった。
「ぁ・・・」