シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
医務室の中でパトリックが葛藤している頃、廊下ではメイがゴミを纏めるのに苦労していた。
さっき無愛想に渡された袋は小さくて、目の前に山のようにあるゴミ屑はとても収まりきらない。
「こんなにたくさんのゴミ・・・一つの袋じゃとても足りないわ」
ガーゼや消毒用の綿、それに負傷者自身が持ち込んだもので、3つあるゴミ箱は入りきらずに溢れていた。
忙しそうに道具のチェックをしている助手に声をかけた。
「もっと袋ありますか?」
すると、助手はゴミ箱を一瞥し、無言のままもう一枚袋を差し出した。
・・・この人、もっと愛想よく出来ないのかしら・・・。
「ありがとうございます」
メイは二枚の袋を手に、これでも足りないのではないかとため息を吐いた。
ゴミを纏めながら、さっきまでの混乱がうそのように静まり返った廊下を見渡す。
ここに、ほんのさっきまで、たくさんの負傷者がいた。
初めてのことに戸惑っているところに、レスターと一緒に駆け付けてくれたパトリック。
事情を説明すると、テキパキと指示を出して、どんどん手当てをすすめていった。
噂にたがわず、全ての人に優しくて途中で何度もメイドの自分に気遣いを見せてくれた。
以前、塔の玄関でも感じたことだが、遊び人と言う噂は間違いではないのかと思う。
本当は、女の方から言い寄ってくるのを断れずに、仕方なく付き合ってるだけではないのだろうか。
そのことに勘違いした周りの人たちが、言っているだけのことで・・・。
そう言えば、屋敷の方に頻繁に出入りしていた令嬢たちが最近ぱったりと来なくなったと、メイド仲間から聞いた。
誰か特定の好きな方ができたのではないかと噂していると。
もしもそうなら、あの方の心を射止めたのはどんな方だろう。
きっと素敵な方に違いない。
「これでよし・・・っと」
苦労した甲斐あって、小さな袋にコンパクトに纏まったゴミを満足げに見ると、椅子の片付けに取りかかった。
―――ガタッ・・!
突然医務室の扉の向こうで大きな物音がした。
そのすぐ後に焦ったような声が響く。
今まで平穏だった医務室の中が昼間のような騒がしさに戻る。
「何があったのかしら・・・・」
なんだか嫌な予感がする。
恐る恐る扉を開いてみると、中では信じられないことが起こっていた。
さっき無愛想に渡された袋は小さくて、目の前に山のようにあるゴミ屑はとても収まりきらない。
「こんなにたくさんのゴミ・・・一つの袋じゃとても足りないわ」
ガーゼや消毒用の綿、それに負傷者自身が持ち込んだもので、3つあるゴミ箱は入りきらずに溢れていた。
忙しそうに道具のチェックをしている助手に声をかけた。
「もっと袋ありますか?」
すると、助手はゴミ箱を一瞥し、無言のままもう一枚袋を差し出した。
・・・この人、もっと愛想よく出来ないのかしら・・・。
「ありがとうございます」
メイは二枚の袋を手に、これでも足りないのではないかとため息を吐いた。
ゴミを纏めながら、さっきまでの混乱がうそのように静まり返った廊下を見渡す。
ここに、ほんのさっきまで、たくさんの負傷者がいた。
初めてのことに戸惑っているところに、レスターと一緒に駆け付けてくれたパトリック。
事情を説明すると、テキパキと指示を出して、どんどん手当てをすすめていった。
噂にたがわず、全ての人に優しくて途中で何度もメイドの自分に気遣いを見せてくれた。
以前、塔の玄関でも感じたことだが、遊び人と言う噂は間違いではないのかと思う。
本当は、女の方から言い寄ってくるのを断れずに、仕方なく付き合ってるだけではないのだろうか。
そのことに勘違いした周りの人たちが、言っているだけのことで・・・。
そう言えば、屋敷の方に頻繁に出入りしていた令嬢たちが最近ぱったりと来なくなったと、メイド仲間から聞いた。
誰か特定の好きな方ができたのではないかと噂していると。
もしもそうなら、あの方の心を射止めたのはどんな方だろう。
きっと素敵な方に違いない。
「これでよし・・・っと」
苦労した甲斐あって、小さな袋にコンパクトに纏まったゴミを満足げに見ると、椅子の片付けに取りかかった。
―――ガタッ・・!
突然医務室の扉の向こうで大きな物音がした。
そのすぐ後に焦ったような声が響く。
今まで平穏だった医務室の中が昼間のような騒がしさに戻る。
「何があったのかしら・・・・」
なんだか嫌な予感がする。
恐る恐る扉を開いてみると、中では信じられないことが起こっていた。