シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
ここは限られた者しか通ることのできない塔の中の通路だ。
私の部下は全員、中に居る。
さっきの警備兵は数人の護衛と一緒に下の階に向かった。
向こうから来るなどあり得ない。
アラン様は医務室で腕の治療をされている頃だろう。
エミリー様達ならば足音を消す理由がない。
では、これは誰だ・・・?
嵐の後の処理に皆が疲れて休憩している今、城の警備は思いのほか薄い。
この隙に賊の侵入を許しても不思議はない。
もしも、かの足音が賊ならばこの塔に何の用がある。
ここには普段アラン様とエミリー様が居られるだけだ。
アラン様を狙うならば寝込みを利用し、真夜中に来るだろう。
ということは、奴の狙いはエミリー様か?
しかし幸いと言っていいのか、今は部屋には居られない。
ここは私の管轄だ。
決して、賊の思うままにはさせない。
警戒の色を強め、足音の方に意識を集中させた。
足音は一つではない・・・もう一つ。
わざと消しているような、忍び足のような足音はゆっくりと近づく。
―――っ!こちらに気づいたか?急に足が止まった。
向こうは二人、部下たちの居る場所はここから離れている。
呼び寄せている余裕はない。
警戒の色から、殺気に変わった気配はどんどん濃くなっていく。
ピリピリと体中が凍りつくような、凄まじい殺気―――。
これは・・・私一人で対峙出来るのか!?
だが、この塔は守らねばならない。
―――カチャッ
意を決し、腰の剣に手をかけ鞘から覗かせる。
壁に背を当て、通路に伸びる自分の影を消しながら移動していく。
脇の小窓から差し込む灯りで剣がきらりと鈍い光を放つ。
向こう側から漂ってくる凄まじい殺気に、全く動き出すことができない。
こんな気配を出す者は、今まで二人しか出会ったことがない。
お二人以外に、こんな者がいるとは・・・。
額に汗が滲み、喉がカラカラに渇いていく。
息を飲み、剣を握る手に汗がにじむ。
辺りは静寂に包まれ、じりじりと焼けつくような緊張の時が過ぎていく。
壁際から角の向こうに殺気を放ち、ジリジリとにじり寄り、攻撃するタイミングを計る。
再び月が雲に隠れ始め、塔が闇に包まれ、通路に伸びる影が消える―――!
ひたりと寄せていた壁から体を勢いよく離した。
私の部下は全員、中に居る。
さっきの警備兵は数人の護衛と一緒に下の階に向かった。
向こうから来るなどあり得ない。
アラン様は医務室で腕の治療をされている頃だろう。
エミリー様達ならば足音を消す理由がない。
では、これは誰だ・・・?
嵐の後の処理に皆が疲れて休憩している今、城の警備は思いのほか薄い。
この隙に賊の侵入を許しても不思議はない。
もしも、かの足音が賊ならばこの塔に何の用がある。
ここには普段アラン様とエミリー様が居られるだけだ。
アラン様を狙うならば寝込みを利用し、真夜中に来るだろう。
ということは、奴の狙いはエミリー様か?
しかし幸いと言っていいのか、今は部屋には居られない。
ここは私の管轄だ。
決して、賊の思うままにはさせない。
警戒の色を強め、足音の方に意識を集中させた。
足音は一つではない・・・もう一つ。
わざと消しているような、忍び足のような足音はゆっくりと近づく。
―――っ!こちらに気づいたか?急に足が止まった。
向こうは二人、部下たちの居る場所はここから離れている。
呼び寄せている余裕はない。
警戒の色から、殺気に変わった気配はどんどん濃くなっていく。
ピリピリと体中が凍りつくような、凄まじい殺気―――。
これは・・・私一人で対峙出来るのか!?
だが、この塔は守らねばならない。
―――カチャッ
意を決し、腰の剣に手をかけ鞘から覗かせる。
壁に背を当て、通路に伸びる自分の影を消しながら移動していく。
脇の小窓から差し込む灯りで剣がきらりと鈍い光を放つ。
向こう側から漂ってくる凄まじい殺気に、全く動き出すことができない。
こんな気配を出す者は、今まで二人しか出会ったことがない。
お二人以外に、こんな者がいるとは・・・。
額に汗が滲み、喉がカラカラに渇いていく。
息を飲み、剣を握る手に汗がにじむ。
辺りは静寂に包まれ、じりじりと焼けつくような緊張の時が過ぎていく。
壁際から角の向こうに殺気を放ち、ジリジリとにじり寄り、攻撃するタイミングを計る。
再び月が雲に隠れ始め、塔が闇に包まれ、通路に伸びる影が消える―――!
ひたりと寄せていた壁から体を勢いよく離した。