赤い狼 四
『別に歩いて来てもらっていただいても構いませんが、歩いて取りにこられた方が時間が掛かると思いますよ?
まぁ、それはお客様が決める事なので好きにして下さい。』
「お前、俺に酷くねぇか?つぅーか、それでクレームこねぇのか?
その毒舌で俺みたいにかなり傷付いてる奴居るぞ、ぜってぇ。」
『大丈夫です。このキャラが好きと他のお客様はおっしゃってますので。』
「おい、その客おかしいぞ。ふざけた事ぬかしてやがるその客全員、直ちに今すぐ俺の前に連れてこい。
考え方を正してやる。」
『無理です。その前に、お客様にその話を伝えると絶対あなたが泣く羽目になりますよ。』
「お前、ぃぃ根性してんじゃねぇか。ぃぃぜ、かかってこい。」
『他のお客様から電話が掛かってきたので切りますね。』
「おい!逃げる気か!?って、こいつマジで切りやがった!」
だーーーー!と叫びながら真っ赤な短髪をグシャグシャと掻き乱す隼人。
お願いだから総長らしい余裕というやつを見せてくれ。
隼人に呆れながら視線を落とすとマグカップに注がれたブラックコーヒーが目に止まった。
そのまま手を机に滑らせてマグカップを両手で包む。