赤い狼 四
「おいおい。そんなに俺に行ってほしくねぇのかよ。困った仔猫ちゃんじゃねぇか。どうした?ん?」
「はぐらかさないで。」
ヘラヘラと笑いながら私の肩をさすさすと擦ってくる銀の目を見つめる。
どこに行くの。ちゃんと答えて。という言葉を添えて。
「いや、隼人のところしかねぇじゃねぇか。稚春ちゃん、何を言ってんだ?」
嘘。さっき捜索って言ってたじゃん。隼人とは別のどこかに行くんでしょ。
人探すのに大人数で固まって捜すわけないじゃん。そんな能率が悪い事するわけないじゃん。
関東No.1の暴走族グループがさ。
ヘラヘラと未だ笑い続ける銀に右の眉を少しだけ上げる。
今、聞こえたんだからね。と言いかけてたのをグッとこらえながら。
これは、禁句ワード間違いなしだった。
でも、聞いちゃいたい。確信にしたい。この疑問を。
…でも、言えない。
――――今、私に隠れてこそこそと何かをしてるのって"ひなちゃん"の為でしょ?
こんな、疑問。