赤い狼 四
「………煙い。」
「今更か。」
周りの空気を混ぜるように手を横に振る奏に思わず噴き出す。
一分前くらいの事を言ってんじゃねぇよ、お前は鈍感か。
馬鹿だな~、奏は。と奏の頭を掻き乱す。
奏はどうでもよくなったのか、うるせっ、と呟いたまま、俺になすがままにされていた。
そのおかげで奏の頭は鳥の巣みてぇだ。写メだな。写メ。
パシャリ、携帯を取り出してそのまま奏の頭を撮る。
「お前っ!ふざけんなよ!」
「いいじゃねぇか。記念だ、記念。」
「馬鹿な事言ってねぇで今すぐ消せっ!!」
「あらやだ。銀ちゃんの芸術作が~。」
携帯を取られまいと腕を空にかざす。
奏、お前は背が低いから取れねぇだろうが。
ざまーみろ、日頃のお返しだ。と心の中で笑いながら、その場で飛び跳ねて俺の携帯を奪おうとする奏を目を細めて見る。
お前も最初っから俺の目を真っ直ぐに見てきたよな。
稚春ちゃんと一緒だ。
真っ正面からぶつかってくるような、その強い眼差し。
ギラギラ、ギラギラと輝いて。
俺には、眩しすぎる。