赤い狼 四
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「本当に勘弁してくれ。」
「…ごめん。」
頭を抱える銀にテヘッと舌を出して謝る。
でもそれをひと睨みで一喝する銀に今度は本気で謝った。
怖い、の一言では表せないほど怖かった。恐ろしい、の方が合っているかもしれない。
まぁそもそも銀が怒った原因は私なんだけれど。
串が刺さった想像をして暴れる私を止めに入った銀の横腹に飛び蹴りを食らわした私が悪いんだけど、何だか納得いかない。
だって横腹を蹴った仕返しにとげんこつを三回、頭に食らった。仕返しなら一回でいいのに、二回余分にやりやがった。
なのに銀は私にゴメンの一言もないなんておかしすぎる!
「う゛~…っ!モガガッ!!」
「お願いだからじっとしててね。」
やっぱりどう考えても納得いかないなと銀にもう二発、飛び蹴りを食らわせようと思っていたら棗に口を塞がれた。
「フガガッ!ンガガガッ!!(棗!離して!)」
「あぁ?おいブス。何が言いたいんだよ~?この紳士な銀様に言ってみろよ?」
「ンガガガガンガッ!(誰が紳士よ!)」
「あ~、許してください銀様だって?困っちゃうな~、銀ちゃん。」
「ガガガガガッ!(言ってない!)」
「なにブタみてぇにフガフガいってんだよ~稚春ちゃん。ちゃんと喋ってみろよな~。」
「…何してんだお前ら。」