赤い狼 四
「隼人、お前は一体何に怒ってんだよ。」
「何でもねぇっつってんじゃねぇか。」
「そんなに眉間に皺刻んで言われても説得力ねぇって。何かあるだろ。」
「しつけぇ。」
「はぁー…。」
粘り強く聞く棗に隼人が棗から顔を背けた。
それを見た棗は額に手を当て、呆れた様子で大きくため息をつく。
さすがの棗も今回ばかりはお手上げらしい。
そんな様子をソファーに深く座り、棗の横でジッと観察するように見ていた銀が
おいおい隼人さん。そりゃないぜ。
と両手を少し上げながら話し始めた。
「何かあっからそんな事になってんだろー?言わねぇと分かんねぇだろーが。
別に無理に言えとは言ってねぇけどよ。明らかに不機嫌なお前が居ると俺等も居心地がわりぃんだよ。」
だからさっさと吐きやがれ。
最後にはこんな言葉を言って口を閉じた銀。
無理に言えとは言ってない、とか言いながら結局、無理に言わせるんじゃん。
まぁでも、言ってる事は間違ってない。
隼人はこれでもまだ黙っている気なんだろうか。
そう思いながら隼人を横目でチラッと見る。