赤い狼 四
「じゃあお前等は俺がムシャクシャしてる理由知っても怒らねぇって言えんのか?」
「んー。」
やっと隼人が口を開いた後、今の状況にはどう考えても似合わない間延びした声が部屋に響く。
その原因は奏が隼人の言葉に唸ったからで。
このタイミングで変な事を言わないでよ、
と焦りながら隼人から奏に視線を移すと奏は女顔負けの極上スマイルでニッコリと笑った。
「怒るとか怒らないとかは分かんないよ。内容にもよるからね。」
「確かにな。」
いつの間にか私の隣に座っていた連が奏の言葉に納得して首を縦に振る。
「だとよ。で、何なんだよそのムシャクシャの原因は。」
奏の台詞に続けて、ピンク色の長めの横髪を耳に掛けながら隼人に興味深そうに聞く銀。
そんな銀の言葉を聞いて、私も未だに分からない隼人のキレた原因が知りたくて身を乗り出す。
そんな私達からの痛いくらいの視線に観念したらしい隼人は、真っ赤な髪の毛を手でグシャグシャにして
お前等マジで知らねぇぞ。
ボソリと呟いた。