恋愛スマイル
「ごめんなさい」


まだ胃は痛いけれどそれすらどうでもいい気がしていた。

よろめくように立ち上がる。


特別になれなくてもよかったんだよ。


ただ覚えていてほしかったんだ。

この心はちゃんと先生のもので、絶対に先生を裏切ったり傷つけたり離れたりしないよって。

でも。

この心が先生を苦しめていたんだね。

だからそれを、自ら切り離しに、きたんだね。

私は本当に、馬鹿、以下だ。

ふらつきながら、そう思った。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

どうか、ゆるしてください。


好きになって

ごめん

なさい。


ドアに手をかけた。





「馬鹿が」



腕を
掴まれた。

なぜ掴まれたのかわからなかった。

考えたくもなかった。

決してそこに光がないとわかっているから。


「迷惑をかけるな」


予想通りの言葉に、笑えた。


「ごめ、なさ…」


笑いながら小さく謝ると、
強く引かれ、




抱きしめられた。
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