死せる朝日の会
まったくもってこの人は、そればっかりだな。
「私達はずいぶんと長い時間を過ごして来ました、だから今さら別れの挨拶をする気にはなれませんね。 けど、ユリスには一言くらい電話してあげて下さいね。」
ルーベンスはそれだけ言うと、スタスタと部屋を出て行った。 そう言えばどうやって議事堂に入ったんだろ? 俺達と違って変装すらしていない、いつもの着物姿のままだ。まあ、それもパステルの力なんだろうけどな。
とりあえず俺はディスクの中身を確認する、中身は至ってシンプルな2つのデータが入っていた。 パステルからの長文の手紙と、音楽ファイルだった。 なんとなく気になった俺は、先に音楽ファイルを開いて起動させる。ノート型パソコンのスピーカーからメロディーが流れ出す、それがかつてジュンイに聞かされた曲だとすぐに気がついた。
「あれ? それって昔流行ったやつだよね?」
横からパソコンを覗き込んでいたリンダが言う、
「そうなの? パステルからのディスクに入ってるんだよな。 昔ってどれくらい昔?」
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