死せる朝日の会
「それは無い、俺達は普通の記憶喪失とは違うんだからな。 それに、仮にそうなったとしても、お前は変わらないよ。」
どうゆう意味だ? まあいい、記憶を取り戻してから全てをはっきりさせてやる。 俺がヒナじゃないのならそれでもいい、リンダもそう言ってくれた。
「飲んでやるよ、そして俺は犯人じゃないと証明してやる。 俺はリンダと生きるんだ。」
俺の言葉に、アリスはピクリともせずにこっちを見ていた。
俺は再び瓶を口元に運び、そして中身を一気に飲み干した。 かつてルーベンスからもらった薬と同様に、異常なまでの苦さだったが、それすら忘れてしまうほどに、俺の全身を膨大な情報の奔流が流れ込んで来た。 俺はその場で、前のめりにソファーから転げ落ちた。 そして、全てが落ち着いた時、俺は大粒の涙を流してアリスにこう言った。
「よく、辿り着いてくれたな、ありがとう。 今まで本当にすまなかった。」
俺の言葉にアリスは答えた、
「言っただろ、ひどい話なんだよ、本当にな。」
俺達はお互いに、何も言えなくなっていた。
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