死せる朝日の会

最後の者

俺はしばらくしてソファーに座り直す、そして意識を集中させると自分と言う存在を高柳周一という“肉体”から切り離した。 俺はそのまま立ち上って振り返る。 そこにはソファーに座ったままの高柳周一が、静かに目を閉じていた。
「そいつはどうなるんだ?」
アリスは、いや、俺はもうわかってしまったんだったな。 あいつはアリスではなく、ヒナなんだ。 そのヒナは俺を見ていた。
「彼は大丈夫、しばらくしたら気がつくよ、俺がもらってしまった時間は、記憶喪失って事になるだろうな。」
「そうか、なら良かった。」
俺は部屋の隅に置いてある鏡をみつけ、その前に立ってみた。 慣れ親しんだはずの自分の姿が、やけに滑稽に見えた。 昨日見たオリジナルのヒナと同じくらいの背格好、髪は若干長めの銀髪で、黒いスーツに黒いシャツを着た自分。 まるで上海マフィアのような姿に失笑しながらも、ヒナを見る。
「いつから気がついていたんですか? あなたの記憶は毎回蓄積されるが、ゲームクリアーの為の情報はリセットされているはずでは?」
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