死せる朝日の会
とりあえず深呼吸をした俺は、ゆっくりと彼女の目を見た。 綺麗な瞳が、俺を見返してくる。なんとなく恥ずかしい。 だが、次の瞬間。 目の前が真っ白になった。そして次に、見たことの無い風景、人物、情報が、一瞬にフラッシュしたかの様に通り過ぎだ。まるで、映画を高速早回しで見たかのような、なのに、それを体験したかのような不思議な感覚に襲われた。
「なんだ今のは?」
俺は我に帰ると、その場に膝をついた。既にパステルは俺の手を離しており、慌てて俺を支えてくれた。
「大丈夫ですか? 今のが私の限界ですが、まぎれもなくあなたの記憶なのです。あなたの中にある記憶の断片を、あなた自信に見せた事による、一時的なショックですから安心して下さい。」
今のが俺? 本当の俺なのか? あまりに一瞬だったから確信は持てないが、確かに何かを俺は見た。パステルとリンダらしき断片も見えたと思う。他にもこの教会や、見覚えのあるような風景があった。
「なあ、一つ聞いていいか? 」
さっきまで黙って俺を見ていたリンダだったが、俺の前までゆっくりと歩いてきたかと思ったら、俺の真正面から抱きついてきた。
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