死せる朝日の会

どっちなんだ?

一瞬戸惑った俺だったが、リンダの真剣な表情に呑まれてしまい、ただなすがままになっていた。
「全部なのか? 本当に私の事がわからないのか? 二人で過ごした時間、二人で歩いた場所を覚えていないんだな? それか… 、私を好きだと言ってくれた事も忘れたんだな。」
え? 俺が? そうなのか? この娘とそうゆう関係だったのか? 突然の告白に、パニックになった俺は、自分でも情けないくらいに取り乱していた。しかし、
「リンダ、とりあえず冗談は後にしてくださいね。 今は状況を整理するのが先です。」
と、冷静なパステルの一言に我に帰った。そして、リンダの顔を見ると、これ以上無いかのような笑顔をしていた。やられた、こんな子供に一杯喰わされるとはな。
「記憶が無くてもやっぱり○○○だな。面白い奴。」
楽しそうなリンダの台詞に、俺はまた疑問を持った。まただ、名前だと思われる箇所が聞こえない。これもルールの一部かもな。そして、そんな俺の考えを見抜かれたのだろうか。パステルを見ると、彼女は真剣な顔で頷くのだった。
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