貴方の愛に捕らわれて

手をさしのべる者など、誰もいなかった。



あの小さな身体で、こんな壮絶な過去に一人ぼっちで耐えて来たのかと思うと、俺は怒りで目の前が真っ暗になった。



もうこれ以上、何者にも香織を傷つけさせねぇ。



香織、これからは俺の全てを掛けてお前を守ってやる。



その為には、まず香織を俺の保護下に置くのが先決だ。



だから強引だとは思ったが、香織が寝ている間に、勝手に香織を引き取る話をつけた。



病み上がりの体に、負担を掛けはしないかと心配に思ったが、回復して早々に引っ越しを強行した。



本当は俺が付いて行ってやりたかった。



だが、事をスムーズに運ぶ為には、香織の母親には俺の存在を知られない方がいい。



だから、智也と組のヤツ数名を付ける事にした。



ところが、荷物など数点しかないから、自分一人で大丈夫だと言ってきかない香織。



過去のトラウマのせいで極度に男に怯える香織には、見ず知らずの男、それもヤクザとくれば、無理もないか……



荷物の移動は、後から組のヤツに任せる事にし、この数日間で少し慣れてきてきた智也を、「コイツはお前を守る為の人間だから大丈夫だ」と言い聞かせて、荷造りに作業に送り出した。



 

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