貴方の愛に捕らわれて
「すみません組長。どうされました」
ドアを開けるのは智也の仕事だ。
俺がいきなり車外に出たので、智也は慌ててまわりの安全を確認しながら俺に駆け寄る。
「ちょっと潮風にあたってくる。ここで待ってろ」
俺を一人にする訳にいかない智也は、困りきった様子でついて来る。
「今夜は月もないし遠くへ行く訳じゃない。いいからそこで待て」
強く指示をすれば、俺に付いてまだ二年の智也では、従うほかない。
困惑する智也を残して、砂浜に降りた。
そこは、俺がまだ組に入る前、暴走族の頭をしていた頃によく来ていた場所だ。