貴方の愛に捕らわれて
殺伐とした毎日に不満があった訳じゃない。
ヤクザは俺にとって天職だ。
俺はこの世界でしか生きて行けない。
そんなことは分かっている。
ただ、胸の奥に埋もれた孤独が、少しだけ疼いた。
極道の家に生また宿命で、昔から俺に近付くヤツは少なかった。
俺にすり寄ってくるのは、親父に取り入りたいヤツら。
それでも、昔はまだマシだった。
暴走族の頭をしていた頃は、少ないながらもダチと呼べるヤツらがいた。
組長となった今は……
月のない夜の海は、まるで俺の心のように真っ黒だ。
そんな自虐的な思いで暗い海を眺めていたら、どこからか澄んだ歌声が聞こえてきた。