貴方の愛に捕らわれて

「俺の前では我慢なんてするな。


だがな、お前があの女の事で泣くのは、これが最後だ」



そう言うと猛さんは抱きしめていた腕を緩め、私の頬を優しく拭った。



泣くのは最後?猛さんの言ってることがわからない。



怪訝に思いながらも頬に手をやれば



あれ……?濡れてる。



びっくりして何度もパチパチとまばたきを繰り返す私の両腕を、大きな手がしっかりと捕らえる。



ほんの少しだけ離された体。



猛さんは私の目を覗き込むと、ゆっくりとした口調で告げた。



「あの女はお前を捨てた。それは変えられない事実だ。


だがな、俺がお前を拾った。


俺はお前を必要としているし、お前も俺が必要だろう。



今まで辛かった事を全て忘れるぐらい愛してやる。



だから香織、これからは俺の為に生きろ」



 

< 179 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop