貴方の愛に捕らわれて

歌声は右手の方角から聞こえてきた。



声の主を求めて夜の海岸を歩けば、少し先に小さな人影を見つけた。




俺は、そっと声の主に近付いた。



少し離れた位置で、澄んだ歌声に聴き入った。



なぜかその時俺は、それ以上は近付いてはいけないような気がした。



それはきっと、真っ黒な俺が近付けば澄んだ歌声を汚してしまうような気がしたからだろう。







それから俺は毎晩、澄んだ歌声を求めてここに来るのが日課になった。




彼女の歌声は、俺の冷え切った胸の奥を暖かく満たしていった。




月明かりに照らされた彼女は、特に綺麗でも可愛い訳でもなかった。



けれども、気の弱そうな幼さの残る顔立は、まるで小さな小鳥のようで、俺の庇護欲を掻き立てた。



俺は彼女を怖がらせないよう細心の注意を払い、護衛も付けずに離れた位置から彼女の歌に聴き入った。



 


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