貴方の愛に捕らわれて

私……なんて、はしたないことを………



つい今し方まで感じていた、甘い痺れや熱は一気に引いてゆき、変わりに嫌悪感が押し寄せる。




血の気が引いた顔は蒼白で、冷たくなった指先が小刻みに震え、やがてそれは全身に広がって行く。



不意に「男を誘うフシダラな泥棒猫」と鬼の形相で罵った、叔母の顔が鮮明に浮かんだ。



「アバズレの子」「ふしだらな親の子」と蔑んだ人達の声が頭の中に響き渡る。




猛さんに…嫌われた……




私はなんて汚らわしいのか。



猛さんから軽蔑されたという恐怖と、自分に対する嫌悪感で息が出来ない。





「どうした香織?!」


呼吸困難に陥り、腕の中で暴れる私の名前を、焦ったように呼ぶ声。



 

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