貴方の愛に捕らわれて
「香織!香織!息をしろ、香織!!」
真っ暗な闇が私を捕らえる。
今にも闇に飲み込まれ、手放してしまいそうな意識を、必死に名前を呼ぶ声が辛うじて繋ぎ止める。
「香織!俺を見ろ」
何度も繰り返し呼ぶ声に虚ろな視線を向ければ、酷く取り乱した猛さんがそこにいた。
「香織、ゆっくりと息を吐け。
―――そうだ、いい子だ」
ゆっくりと息を吐き出した私を見て、安堵の表情を浮かべる猛さん。
両頬をがっしりと掴まれていて、顔を逸らすことが出来ないにもかかわらず、私はそんな猛さんの表情を見ることが出来なかった。
だって、私を見つめる切れ長の瞳に、軽蔑の色が浮かんでいたらと思うと、怖くてぎゅっと目を瞑ってしまったから。