貴方の愛に捕らわれて
「なんだ、甘えたか?
甘えたなお前が、こんなに可愛いいとは思わなかった。すげぇイイな」
優しく髪を梳きながら囁く声は、どこまでも甘い。
「女に甘えられて嬉しいって思ったのは初めてだな。
今まで女を甘やかした事なんて一度もなかったし、そうしてやりたいと思った事もなかった。
どうしてだろうな?お前の事なら際限なく甘やかしてやりたいって思える」
甘い低音ボイスが鼓膜を震わす。
「可愛いな」と言いながら髪にキスを落としたかと思えば、「可愛い顔を見せてくれ」と言ってゴツい指の背で頬を擽る猛さん。
もうダメ。限界。
このまま此処にいたら、羞恥で全身の血液が沸騰しちゃいそう。
一刻も早くこの羞かしい状況から解放されたくて『顔を洗ってきます!』と叫んで、猛さんの腕からすり抜け、洗面所に逃げ込んだ。