貴方の愛に捕らわれて
俺は香織を追おうとしたが、龍二が邪魔をする。
「組長!どちらへ」
ドガッ!!
俺は渾身の力で龍二を殴りつけた。
この2ヶ月、慎重に手懐けてたというのに!
俺の怒りように驚いた龍二は、すぐさま詫びを入れる。
「すみません」
「二度とアイツに構うな!」
「……畏まりました」
俺が唸るように命じると、龍二は納得はしていないが承諾の返答をした。
龍二は当然の事をしたまでだが、先程の香織の怯えた姿を思い出すと、どうにも怒りが治まらねえ!
待たせていた車に乗り込むと、後部座席で不機嫌に目をつむる。
バレてしまった俺の素性……
いずれは話すつもりでいたが、出来る事ならもう少し先延ばしにしたかった。
香織にどう話そう。
腹の虫が治まらねえ俺は、回りの人間に当たり散らしたが、 怒りが治まる事はなかった。