貴方の愛に捕らわれて
私の横を駆け抜けたのは、この学校では有名な不良だった。
あの金髪の人は、3年の相沢晃先輩だ。
確か焔虎という暴走族の総長をしている人だ。
相沢先輩の隣りにいる赤髪の人は、赤崎先輩。
もう1人の緑メッシュの人は、同じクラスの堀田君だ。
彼らも確か、焔虎の幹部だ。
なんだか校門の辺りに、ガラの悪い生徒が集まっているようだ。
校門に近付くにつれて、その異様な状況に言葉を失う。
校門のすぐ横には、フルスモークの黒い高級車が止まっていた。
その高級車を囲むように、相沢先輩を始め数十人の焔虎のメンバーらしき不良が取り囲んでいる。
ただでさえ男の人は苦手なのに、目の前には不良の集団。
緊張のあまり足がすくんで、その場に立ち尽くす。
暫く様子を眺めていたが、一向に異様な集団が校門から離れる様子がない。
いつまでもここで固まっている訳にはいかない。
バイトに遅れてしまう。
私は、なるべく不良達から距離をとるようにして、俯いて足早 に校門を通り抜けた。