貴方の愛に捕らわれて
 

住田先生がその話しを猛さんに伝えたところ、猛さんがその気になってしまって、予備校やら大学の資料を取り寄せていたのだという。



本当なら、学校側が期待しているT大学に通わせたいのだが、大学内での護衛のことやなんかで、それはちょっと難しいという。



自宅から通学する事は絶対条件だし、護衛付で通わせれる大学を調整中だと言う。



自分の知らないところで大変な事になっているのに、まるでドラマを見ているようでちっとも実感が湧いてこない。



耳から入ってくる言葉は、全く理解されずに頭の中を素通りしてゆくばかり。



だから龍二さんに、丁度いい機会だから私の考えを聞かせてと話を振られて、やっと意識が引き戻された。



周りからの視線を痛いほど感じながら、ここで自分の意思をはっきり伝えなきゃ、沢山の人達に迷惑が掛かるのだと、萎縮しそうな気持ちを奮い立たせて、大学に行くつもりはないことを告げた。



 

< 359 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop