貴方の愛に捕らわれて
 

大学には行かないと言った私に、猛さんは金のことは心配するなと言ってくれた。



どうやら私が遠慮して進学しないと言っていると思われたようだ。まあそれも要因の一つではあるけど、大学に通ってまで学びたいことが有るわけじゃない。だから行く必要性を感じないのだと、素直な気持ちを語った。



ところが猛さんは「今の世の中、学歴社会だ。取り敢えず大学は出とけ」と言って納得してくれなかった。



けど、大学を出ても特につきたい職業がある訳じゃない。それなら高校を卒業して直ぐに働きたいです。そう自分の考えを告げたら、あっさり就職の件は却下された。



猛さんの中では、私は卒業したら専業主婦になることは決定事項らしい。



それなら尚更、大学に行く必要なんてないじゃない?



人見知りの激しい私にとって、大学という新しい環境に馴染むまでに感じるストレスは、相当なものだ。出来ればそんな思いはしたくない。



 

< 360 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop