貴方の愛に捕らわれて
 

「よかった~。それなら今度の土曜日、一緒に買い物に行かない?」



『買い物?』



「服とか靴とか、旅行用のコスメとか用意しなきゃ」



楽しそうに話す由香里から出た聞き慣れない言葉に、聞き返す。



『コスメって?』



「へ?…化粧品ってか、そう言えば香織って、いつもすっぴんだよね」



『うん。お化粧なんてしたことないよ。だから化粧品とか持ってないし。

えっと、旅行に必要なの?』



髪の毛だって櫛を通すだけで、染めたり巻いたりといったことなど、したことがないのに、お化粧だなんて全く分からない。



そもそも旅行にすら行ったことがないのだから、何を用意したらいいのかイマイチ分からないのだ。



そんな私の返事を聞いて、暫し目を見開いて絶句していた由香里は、拳を握りしめて有り得ないからと叫ぶと、何やら気合いも十分に、今度の土曜は絶対に付き合ってもらうからと、鼻息も荒く宣言した。



 

< 381 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop