貴方の愛に捕らわれて
 

その日の夕食後、ソファーでニュースを見ながら寛ぐ猛さんに、早速今日のことを話した。



『今度の土曜日ですが、外出してもいいですか?』



「ん?かまわないが、珍しいな」



滅多にというか、猛さんと暮らして数カ月、家と学校の往復のみで外出はおろか、寄り道すら殆どしない私の突然の申し出に、見ていたテレビを消してこちらに向き直る猛さん。



改まった空気に焦りつつ、由香里と修学旅行の準備のために買い物に行きたいのだと告げれば、猛さんは分かったと言ってリビングを出て行った。



程なくして戻ってきた猛さんは、一枚のカードと封筒をテーブルに乗せた。



「前から渡そうと思っていたんだが、お前のカードだ。


これで必要な物を揃えるといい」



〔郷田 香織〕と記されたクレジットカード。



暫しポカンと眺めていたが、俄かに頬が熱くなる。



 

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