貴方の愛に捕らわれて
それはあっと言う間の出来で、マズいと思った時には、私の腰に猛さんの逞しい左腕が絡みつき、後頭部は右手でがっちりと押さえこまれていた。
そして、ずいっと寄せられた顔からは、視線を逸らすことも出来なかった。
「香織」
いつもより数段低く囁くように紡がれる声は、全てをさらけ出すように促す合図。
この態勢に持ち込まれたら、逃げることは不可能。
今までにも何度か、この態勢で洗いざらい吐露させられた。
猛さんと結婚してすぐに交わした約束。それは隠し事をしないことと、遠慮をしないこと。
猛さんに隠し事なんてないし、するつもりもなかったから、こちらは問題無かった。
けど、遠慮をしないに関しては難しかった。
だって、どこまで甘えていいのか分からないんだもん。
だから遠慮してるのがバレると、猛さんは私が逃げられないように膝の上に抱き上げ、私がそれを認めて甘えるまで許してくれなかった。