貴方の愛に捕らわれて
 

松野君を始め、私付きの若い衆をさん付け呼んだら、呼び捨てでお願いしますと言われて困った。



姐である私は、いくら新参者で年下であっても、彼らをさん付けで呼ぶのは拙いらしい。



そんな大層な人間じゃないのに。何とも申し訳ない気持ちでいっぱいな私に、猛さんが君付けで呼ぶという妥協案を提示してくれ、それで落ち着いた。



その他にも、猛さん達の世界の常識やルールは、私の知るものとはかけ離れていて、郷に入っては郷に従えとはいうものの、その感覚にはなかなか慣れることが出来ない。ヤクザの世界って難しい…



今日だってそう。遊び行くのに、車で送ってもらうなんて申し訳なくて、電車で行くと言ったら松野君達に目をむかれてしまった。



私が混雑する電車に乗るのは、彼ら的には有り得ないことで、どうしても電車で行くなら、周りを全員で囲みますと言われて敢え無く断念した。



厳つい黒スーツに取り囲まれて電車に乗るなんて……


そんな勇気、私にはないよ。



 

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