貴方の愛に捕らわれて
「何か予定でもあるのか?」
固まる私に、猛さんが優しく話し掛けてくれた。
『用事……!
そうだ。私、バイトがあるのでごめんなさい!』
猛さんの一言で我に返る。
バイトを理由に断ろう!
「お送りしますよ」
『………ぅ』
断る理由を思い付いて、嬉々としてまくし立たる私に、ニッコリ微笑んで乗車を促す龍二さん。
どうしよう……
困り果てて思わず猛さんをチラリと見れば
「送ってやる」
『………』
「大丈夫だ」
足がすくんで動けずに、じっと猛さんを見つめれば、少しだけ目を細め、低い声が優しく、あやすように掛けられる。
不思議……。
猛さんが「大丈夫」って言うと、本当に大丈夫な気がする。
猛さんの大きな手に背中を押され、私はおずおずと車に乗った。