貴方の愛に捕らわれて
 

そういえば、龍二が調べた報告書に、茶と華を子供の頃から習っていたと書かれていた。だがそれを読んだ時は、旧家の娘の嗜み程度だと思って、気にも止めていなかった。



驚いたのは龍二も同じで、その事を香織に告げると、香織ははにかみながら、昔、祖母が生け花教室を開いていた事があり、祖母を手伝って自分も近所の子供らに教えていたと言う。



子供相手とはいえ、教える程の腕前だったとは。



正直、この時間では別の花屋に頼んだ所で、間に合わなかっただろう。



それに、此処に身元調査もしていない業者を、いくら急を要するとはいえ出入りさせるのも、セキュリティーの面で問題だった。



だから龍二と佐武が、お陰で大事にいたらず助かりましたと頭を下げたのは、当然の事だった。



だが香織は、頭を上げてくれと酷く狼狽し、それよりも、この部屋の準備をした奴を叱らないで欲しいと龍二達に言った。



 

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