貴方の愛に捕らわれて
不安げに見上げてくる香織を奥に連れて行こうとすれば、香織が庭の花を切ってもいいかと言う。
唐突な申し出を不思議に思いながら、構わないと言うと、佐武にハサミを貸りて縁側からスタスタと庭に下りる香織。
俺達が見守る中、今が見頃と咲き誇る芍薬を数本適当に切ると、それを持って床の間の前に座った。
俺達が呆然として見守る中、あっと言う間に花を生け終えた香織は、これで如何でしょうかと聞いてくる。
生けられた芍薬は見事なもんで、花屋が生けてったものと比べても全く遜色ない。
いや、寧ろ欲目でもなんでもなく、俺は香織の生けた花の方が好みだ。
その後、玄関にも手際良く菖蒲を生け、無事会合に間に合わす事が出来た。
正直、マジで助かった。その後の佐武の報告によると、いつも頼んでいる花屋は、明日まで連休だったらしい。