貴方の愛に捕らわれて
 

「なあ、香織。これから二週間ほど忙しくて、夕飯も一緒にとれそうにないんだが、一人で留守番できるか?」



猛さんの言葉にびっくりして、膝の上から見上げれば、心配そうにこちらを伺う瞳にぶつかる。



『えっと、留守番ぐらい出来ますけど…、それは帰ってこられないって事ですか?』



やっと猛さんの元に帰って来たのに、また二週間も会えなくなるのだろうか。



寂しさで胸が潰れそうになりながらも、強張る声を何とか紡ぎ出せば、遅くはなるがちゃんと帰って来ると言う猛さん。



『なら大丈夫です。ちゃんと留守番できますよ?』



そんな忙しい最中にも関わらず、仕事を抜けてお迎えに来てくれた猛さんに、ぎゅうっと抱きつく。



「こんなに甘えたなのに本当に大丈夫か?何なら、学校帰りに事務所に来てもいいんだぞ」



 

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