貴方の愛に捕らわれて
 

「あのさあ、どうして香織は二年経ったら郷田さんの元を去ろうと思ったの?」



『え……、だって婚約者がいるって…』



「じゃあ、郷田さんのことが好きじゃなくなったとか、信じられなくて離れようって訳じゃないんだ」



『うん…。今朝はっきり分かったんだけど、猛さんとずっと一緒にいられないって知って、苦しくて絶望して何にもする気にならなかった。


こんなに苦しいなら、猛さんのこと忘れようって思ったけど、それも出来なくって。


もう、どうしたらいいのか……』



「じゃあ、別れなくていいじゃん」



思いつめて俯く私に、由香里は明るい調子で言い放った。



突然、吹っ切れたように言い放った由香里を怪訝な面持ちで見れば、由香里の両手が伸びてきて、私の頬をピタッと挟み、視線をしっかりと合わせ、諭すような口調で語り掛けてきた。



 
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