貴方の愛に捕らわれて
 

………どうして!?



三階には猛さんしか上がってこない。ここ数カ月の経験で、そう思い込んでいたから、目の前の光景に頭がついてこない。



唖然として固まる私に、藤野さんは何やらブツブツと呟きながら、三階からゆっくりと降りてくる。



普段から苦手だったけど、今日の藤野さんは何だか思い詰めたような雰囲気で、それが一層の恐怖心を煽る。



気が付けば、じりじりと階段を後退り、二階の踊場まで降りていた。



「……お前の代わりに荷造りしておいてやったよ。これを持ってとっとと出ていきな」



藤野さんの雰囲気があまりにも異常だったから気付かなかったけど、言われて初めて彼女が私のスーツケースを手にしていることに気がついた。




『………出て、行きません』



俯きそうになるのをぐっと堪え、視線をそらす事なくゆっくりと左右に首をふれば、藤野さんは般若のように目をつり上げ激高しだした。



 

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