貴方の愛に捕らわれて
 

「大人しそうなふりして、とうとう本性を現したね。


お前なんかに関東一の組の姐が務まるもんか!お前なんか相応しくないんだよ」



今朝までの私なら、ここまで言われたら逃げ出していたかもしれない。でも、私は決めたから。



『嫌です。出て行きません。猛さんが私のことを要らないって言うまで、私は出て行きません』



きっぱりと言い切った。



絶対に刃向かわないと思っていた相手に刃向かわれ、暫し唖然としていた藤野さんだったけど、次第に全身をブルブルと震わせ初め、白かった顔色が瞬時に赤黒く染まっていった。



そして大きく見開かれた目は見る間につり上がり、その瞳の奥に仄暗い狂気の色を見た私は、この場にいては危険だと本能的に悟ったけれど、それは既に遅く。



「出てけ、出てけ、出てけぇーー!」



激昂した藤野さんは絶叫とともに、手にしていたスーツケースを、私に向かって投げつけた。



 

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